ライター紹介
名前:玉響(たまゆら)さん
プロフィール:lancersでは過去27件受注し、ライフスタイル、アート・芸術、女性の美容トレンドについての記事を執筆しました。
現実逃避をするためのバーを、ストックしていますか?名古屋駅付近、社会の喧騒を感じる都市の真ん中にも、実は非日常を感じられる逃避場所があります。「もう今日は疲れ切った、夜更けまで一人で逃避したい。」「あの人とサシでじっくり、ゆっくり語り合いたい。」
今回は、そんな時にぴったりな、私が重宝してきた隠れ家バーを3軒、ご紹介します。
CONTENTS
1軒目は、倫敦塔(ロンドントウ)
名古屋駅から徒歩7分で行けるブリティッシュバーです。
私はイギリス留学後に、地元の名古屋で良いブリティッシュパブはないものかと、捜し歩いた時期がありました。いくつかパブを見つけましたが、最も気に入ったのは、パブというよりもバーである、こちらでした。
一般的にパブの特徴といえば「開かれた」雰囲気。各地に展開しているHUBなどはまさにその典型です。ですが、ここ倫敦塔は、ワイワイがやがやした、開かれた大衆的パブというよりは、知る人ぞ知る大人が夜な夜な集まるといった、閉ざされた雰囲気です。車道沿いから地下に下っていくと秘密基地に通じるような扉が。中に入ってみると、こじんまりとした店内で、テーブル席、カウンター席ともに、少人数もしくはひとりでも寛げます。初めて訪れた時は、洞窟のようだと思いました。ライトダウンされた中、蝋燭の灯りが、イギリスの旗やモチーフインテリアを浮かび上がらせます。ムードたっぷりな異国情緒があります。
食事は、英国料理というよりは日本人向けの国内料理という印象。食事メニューには、名古屋コーチンの卵を使用したプリン、広島の牡蠣や博多明太子を使用したパスタなどもあり、そんな異文化融合も、名古屋っぽくて面白い。ついでに言えば、ここの石焼きカルボナーラは絶品なので、迷ったならばそれをいただきましょう。
ドリンクは海外志向な印象です。ビールで言えば、ニューキャッスルブラウンエールや、ロンドンプライドが定番ですが、スコッチウィスキー類も豊富にあり、ワインも各国のものを取り揃えています。
友人を唐突に呼び出して、フィッシュアンドチップスをつまみながら、失恋や仕事のミスを嘆いた後にダージリンクーラーなんかで調子よく乾杯するもよし。恋人を連れて行って、蝋燭の灯りと沈黙の中でフルボトルを開け、雰囲気とアルコールでお互い酔ってきたらだんだん互いの話に夢中になっていくのもよし。もちろんひとりで、なんだかすべてどうでもいいなという夜に、スコッチのシングルモルトを独り占めする、なんてのも最高です。
2軒目は、BAR BARNS(バー・バーンズ)
伏見駅徒歩5分圏内にある、名古屋屈指の隠れ家的オーセンティックバーといえばこちらです…が、そのような定型的な説明では足りません。私はこのバーでカクテルをいただいて、初めてカクテルに感動しました。旬のフレッシュフルーツを使ったカクテルは特に好評と聞き、愛知県産の無花果を丸ごと使用しウォッカと混ぜたカクテルをいただきました。つぶつぶ、とろっとした触感、優しい甘さのカクテルが癖になり「こんなに美味しいカクテルはじめて」と人並みな感想を述べた記憶があります。そのあとに飲んだジントニックも、キリッとした爽やかさが鮮烈で、「こんなに美味しいジントニック(以下略)」となりました。ひとりで静かに嗜んでいる人、数人で静かに語り合っている人、さまざまでしたが、皆ここのカクテルに心底惚れ込んでいる空気感です。なにより、温かくプロ意識あふれる接客と確かなセンスに、根強い人気の理由があると感じました。予約は必須です。
──ああ、ここにあの人と来れたらよかったな。
失恋後、とにかく美味しいカクテルで気分を紛らそうと意気込んで来たのに、ぼんやり、じんわりと目の奥が熱くなりました。素敵なオーセンティックバーに一人で赴き、優雅にカクテルを2杯ほど嗜む…そんな大人の女性に憧れ続けてきたのに、まだ弱い。でも、本当に好きだった人と訪れることを切望したバーを持つ、というのも、また一興かもしれません。
3軒目は、BAR YLANG YLANG(バーイランイラン)
名古屋駅から徒歩10分、伏見駅から徒歩5分に位置するこちらのバーは、「日常からの日常的なトリップ思考」をするのにピッタリです。洗練されていながらもカジュアルで気取らない雰囲気で、しかも平均予算は3000円未満というお値打ち価格です。装飾が削ぎ落とされたスタイリッシュな空間が、都会の喧騒を忘れさせてくれます。名古屋の夜景が眺められる好立地もポイント。ひとりでも、友人とでも、デートでも。シーンを選ばず、ちょっぴり非日常、を味わえます。パスタやカプレーゼなど、軽いアラカルトも充実しているので、夕飯時から利用できる点もおすすめです。
さて、この店を教えてくれたのは、私の友人の中でも圧倒的にザルな飲み友達でした。彼女とは大学1年生の時に出会いましたが、大学では殆ど絡まないまま卒業しました。というのも、私は根っからの文化系、彼女はバリバリの体育会系で、属するグループも価値観も真逆。それなのに、4年間ずっと、週一くらいのペースでサシ飲みをする関係でした。学友の誰ひとり、この関係を知らなかったでしょう。
そんな彼女とはいつもこちらのバーに集合し、沢山のことを語り合いました。ハマっているもの、勉強したいこと、行きたい場所、一番の思い出、後悔していること、どうでもいいこと、大切な言葉、性癖、人生観、恋愛観、とにかく沢山。私はいつもジントニックで、彼女はいつもジンフィズでした。このミントがきつめのジントニックが私のスタンダードになっているほどです。
そして、この味にたどり着くのに、研究に研究を重ねたという自家製チーズケーキを、最後にいつもシェアしていました。ずっしりとした、ニューヨークスタイルのベイクドチーズケーキ。私と彼女はまったくタイプの違う人間だと自認していたけれど、食の好みだけは驚くほど一致していたのかもしれません。そして、それが必要十分だったのかもしれません。
きっと一生、日常の中で、こうして飲みに行く予感があります。
まとめ
以上が名古屋駅付近の非日常バー、主観的3選でした。いつも生きている日常と少し外れた、サイドストーリーの場として、特別なバーをストックしてみてはいかがでしょうか。
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