フィーバー中の「ヒプノシスマイク」はここが沼深い!

tsasaki
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この記事はゲストを招き、語っていただくオリジナルコラムです。

ライター紹介

名前:おくらさん

サブカル、ライフスタイル系ライター歴3年。漫画の考察記事やエッセイを書くオタクOL。

導入

「ヒプノシスマイク」、略して「ヒプマイ」。今となっては経済効果が100億を超え、巨大経済圏を創り上げています。「一体どんなコンテンツなの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

ヒプマイの魅力を語りつくすのは難しいですが、今回はそんなヒプマイの概要と、人気の理由はどこにあるのか、について紹介していきたいと思います。

ヒプマイって?

ヒプマイを一言で説明するならば、キングレコード(EVIL LINE RECORDSレーベル)が手がける「音楽原作ラップソングプロジェクト」。

これは、男性声優18名がキャラクターに扮してグループに分かれ、テリトリーバトルを「ラップ」で行う、というもの。この時点で既に、なかなかシュールな設定ですよね。

最大の特徴は、あくまでHIP HOP音楽がメインである点。ストーリーや映像表現は、それに付随して補完的に進んでいきます。

声優陣には、木村昴、石谷春貴、天﨑滉平、浅沼晋太郎、駒田航、神尾晋一郎、白井悠介、斉藤壮馬、野津山幸宏、速水奨、木島隆一、伊東健人、岩崎諒太、河西健吾、黒田崇矢、葉山翔太、榊原優希、竹内栄治という個性豊かな顔ぶれが集結。

ラップは初めて、という声優も、歌い込みが凄まじく、コンテンツのクオリティを支えています。

原曲へのこだわりもひとしお。楽曲提供者には日本を代表するラッパー、トラックメーカーを起用しています。そして、「ディビジョンラップバトル」という決戦の場では、視聴者参加型のLIVEパフォーマンスとして開催されています。

ざっと説明しましたが、なかなか異色のコンテンツだ、とお分かりいただけたのではないでしょうか。

どんなストーリーなの?

まずは、ヒプマイがどういう世界観であるのか、説明していきます。

時代は、第三次世界大戦によって人口が三分の一になったH歴。女性による行政地区・中央区が覇権を握っています。武力は完全排除され、代わりに人の精神に直接干渉する特殊なマイク・ヒプノシスマイクが使われるように。つまり争いは武器から、言葉によるリリックに取って代わりました。勝てば相手の領地が自らの領地になる設定。その為、現段階では6地区の各代表チームが、威信をかけたテリトリーバトルを行っているのです。

多彩なキャラクターたちを紹介!

ヒプマイの魅力のひとつは、個性的で多種多様なキャラクターとグループ。自分の「推し」を見つけやすいと思います。もちろん、みんな違ってみんないい、に落ち着くファンも少なくありませんが…。

今回は、全6ディビジョンの特色を紹介していきます!

「イケブクロ・ディビジョン(Buster Bros!!!)」

山田 一郎、山田 二郎、山田三郎の三人で構成される、学生三兄弟によるグループ。テーマカラーは赤、テイストはストリート系。リーダーである一郎役には、ドラえもんのジャイアン役でおなじみの木村昴が抜擢。自身も根っからのHIP HOPファンであり、ヒプマイ全体を牽引するバイタリティを発揮しています。

少年ジャンプを彷彿とさせるアツさと、兄弟の絆が母性をくすぐることから、イケブクロファンのことは「オフクロ」と呼ばれることも。

「ヨコハマ・ディビジョン(MAD TRIGGER CREW)」

碧棺 左馬刻(あおひつぎさまとき)、入間 銃兎(いるまじゅうと)、毒島 メイソン 理鶯(ぶすじまめいそんりおう)の三人で構成される、クールなグループ。テーマカラーは青、テイストはアウトロー系。順に、ヤクザ、警察官、元海軍という異色の組み合わせです。左馬刻は、イケブクロの一郎と、現在は犬猿の仲。一見ビジネスライクな3人ですが、熱いバトル、深い信頼関係が垣間見えます…!

「シブヤ・ディビジョン(Fling Posse)」

飴村 乱数(あめむららむだ)、夢野 幻太郎(ゆめのげんたろう)、有栖川 帝統(ありすがわだいす)の三人で構成される、自由奔放なグループ。テーマカラーは黄色、テイストはポップ・キュート。デザイナー、小説家、ギャンブラーという組み合わせで、チーム名の意味は、「志を共にする刹那の友」。ストーリー上のキーキャラクターでもある飴村乱数は、シンジュクの神宮寺寂雷と犬猿の仲です。「刹那の友」を公言する3人の関係性が、乱数の境遇を巡って深まっていく過程や、象徴的なグループソング「Stella」は心を打つものがあります。

「シンジュク・ディビジョン(麻天狼)」

神宮寺 寂雷(じんぐうじじゃくらい)、伊弉冉 一二三(いざなみひふみ)、観音坂 独歩(かんのんざかどっぽ)の三人で構成される、アダルトグループ。テーマカラーはグレー、テイストはダーク。医師、ホスト、社畜リーマンという、こちらも面白いキャラ設定です。一二三と独歩は幼馴染で旧知の仲。第一回ディビジョンラップバトルで優勝し、その暁には、日本のHIP HOP界のレジェンド・Zeebraが楽曲提供しました。新宿の闇を抱えるダークなリリックと、打って変わってほのぼのとした日常が窺えるドラマトラックとのギャップが魅力です。

「オオサカ・ディビジョン(どついたれ本舗)」

白膠木 簓(ぬるでささら)、躑躅森 盧笙(つつじもりろしょう)、天谷奴 零(あまやどれい)の三人で構成される、2019年に追加で発足したグループ。テーマカラーはオレンジ、テイストは、The「大阪」。コメディアン、教師、詐欺師というラインナップ。グループソングである「あゝオオサカdreamin’night」は作詞がR-指定、作曲はDJ松永が担当し、大阪に所以があるCreepyNutsということで、話題になりました。

「ナゴヤ・ディビジョン(Bad Ass Temple)」

波羅夷 空却(はらいくうこう)、四十物 十四(あいものじゅうし)、天国 獄(あまぐにひとや)の三人で構成される、オオサカと共に追加されたグループ。テーマカラーは紫、テイストはアバンギャルド。僧侶、ヴィジュアル系シンガー、弁護士という、これまた個性的な顔ぶれです。グループソングの「Bad Ass Temple Funky Sounds」は、現在名古屋在住のアーティスト、nobodyknows+が楽曲提供。リーダーの空劫のキャラソンである「そうぎゃらん BAM」は、SOUL’d OUTのDiggy-MO’が提供したことで一躍有名に。

ヒプマイの「沼」の広げ方が凄い!

ヒプマイの魅力として特に注目したいのは、「沼を広げるコンテンツ展開」!

全ての始まりは、何の告知もなく唐突に公開された1本のミュージックビデオ「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」でした。人気声優たちの唐突なラップソングに、視聴者たちは「何これ!?」と騒然。

瞬く間にYoutubeの急上昇ランキング3位にランクインしました。

その後、ニコ生でWeb番組「ニコ生Rap Battle」が開始し、LIVEバトルでは、視聴者の投票によりリアルタイムで勝敗が決定。その結果によってストーリーが左右されていくという、「視聴者参加型コンテンツ」です。イメージとしては、AKB総選挙みたいな感じですね。

Youtube、ニコ生、Spotify、AbemaTVといったストリーミングサービスを最大限に活用した、複合的かつ短スパンでのコンテンツ供給も、ファンを離しません。3年経った現在に至るまでに、物語を補完する形で、コミカライズ、アニメ、ラジオ、舞台、ゲームと多様なメディアに展開してきました。

その過程でストーリーを小出しにするというよりも、どんどん膨らませている印象を受けます。

もともとはイケブクロ・ヨコハマ・シブヤ・シンジュクの4ディビジョンだったのですが、2019年9月7日・8日に開催された4th LIVEでは、新たにオオサカ、ナゴヤが追加発表されました。(この時の盛り上がりは凄まじかったです。)

そして2021年1月、2月には、6th LIVEが「ABEMA PPV ONLINE LIVE」で近日開催予定。これは第二回ディビジョンラップバトルということで、今後のストーリーを決めるバトルになります。しかも今回からはなんと、専用アプリを利用した「VR LIVE」も追加!

観客動員が難しいご時世を逆手に取ったかのような、先を行く次世代ライブになりそうです。

さて、気になるのは、2020年にリリースされた、女性たちによる統治を行う中央区「言の葉(ことのは)党」のCD。中央区は、ディビジョンラップバトルを開催する側であり、内閣総理大臣・東方天乙統女(とうほうてんおとめ)が政権に君臨しています。

中央区を取り巻く真の目的は未だ謎が多く、人物関係も多極化し、ストーリーは混迷を極めている状況です。そもそも、「敵」は誰なのか?ヒプノシスマイクという武器を巡る陰謀は何なのか?今後少しずつ明らかになっていくでしょう。

もともと、シナリオ原作ではないので、情報に「空白」が多いのです。手がかりとなるのは、各音楽CDに収録された、数十分のドラマトラックがベース。やっと少しずつ、オオサカ・ナゴヤの新メンバーも含めて、キャラの相関関係が明らかになってきたところです。

ファンたちは、ドラマトラックでの台詞やリリックから、人物相関や過去の出来事について様々な考察を捗らせ、結果としてファンコミュニティの活性化に繋げてきました。この、ファンによる想像の余地が大きい点も、ヒプマイの魅力といえそうですね。

ますます勢い加速中の「ヒプマイ」。

生粋の声優ファン、アニメファンやHIP HOPファンはもちろんのこと、初心者も、その面白さ・斬新さに発見があることでしょう。

新しい二次元コンテンツを先導するヒプマイの、今後の「沼」の広げ方、深め方に期待大ですね!

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